【感想】テルマ(2018年)

【感想】テルマ(2018年)

テルマ(原題:Thelma)

ポスター画像

あらすじ

ノルウェーの田舎町で、信仰心が強く抑圧的な両親の下で育ったテルマには、なぜか幼い頃の記憶がなかった。そんな彼女がオスロの大学に通うため一人暮らしを始め、同級生の女性アンニャと初めての恋に落ちる。欲望や罪の意識に悩みながらも、奔放なアンニャに惹かれていくテルマ。しかし、やがてテルマは突然の発作に襲われるようになり、周囲で不可解な出来事が続発。そしてある日、アンニャがこつ然と姿を消してしまい……。(映画.comから)

スタッフ

監督 ヨアキム・トリアー
製作 トマス・ロブサム
製作総指揮 シグベ・エンドレセン、ヨアキム・トリアー、エスキル・フォクト
脚本 エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー
撮影 ヤコブ・イーレ
美術 ロジャー・ローゼンバーグ
衣装 エレン・ダーリ・ヤステヘーデ
編集 オリビエ・ブッゲ・クエット
音楽 オーラ・フロッタム

キャスト

エイリ・ハーボー:テルマ
カヤ・ウィルキンス:アンニャ
ヘンリク・ラファエルソン:トロン
エレン・ドリト・ピーターセン:ウンニ

予告編

感想・レビュー(ネタバレあり)

ラース・フォン・トリアー監督の甥が深遠なホラー映画を撮ったということで、興味津々だった本作。ヨアキム・トリアー監督については全然存在を知らなかったんですが、実はこれが処女作というわけではなく、すでに何本か監督をしていて評判も上々らしいとのこと。勉強不足で大変失礼いたしました。というわけで、仕事で大阪に出向いたついでに、シネ・リーブル梅田で観賞してきましたよ。

さて内容はというと、凍った湖の上を幼少期のテルマと父親が歩くシーンから始まり、その後の雪景色に至るまで北欧の美しく静謐とした雰囲気に心を掴まれます。ライフルで鹿を狙うかと思いきや、鹿に注意を取られているテルマに狙いを定めるも撃つことができない父親、という不穏な空気で場面転換。このオープニングに関しては文句なしに最高でした。

そこからは成長して大学生となり都会で一人で暮らし始めたテルマが描かれ、恋をして、突然の発作と不可解な出来事が起こり始め、自分が一体何かを探り始めるといった流れ。結果として、愛する人が消えてしまい、父親からテルマの持つ「強く願ったことが現実になる力」や、その力によって弟を死なせてしまったことが明らかにされます。最終的には、能力を使って父親を殺して自由になるといった感じ。

父殺しによって自由になるっていう展開はある種古典的とも言えるんだけど、父親を単純な悪人にしなかったことで物語に厚みが出たなあと。独善的とも取られてしまう父親の行動も、テルマを含む家族全員を愛しているからこその行動で、個人的にはすごく共感できる。キリスト教による洗脳に近い手法も、テルマが能力を自制できるようにするために最も適切と考えたからの行動と考えると納得できるし、テルマの人を見下す考え方を正すシーンも、彼女に必要な教育だと思えました。

また、ネットで評判を見ていると、この物語をテルマと恋人の純愛ものとして捉えている人が多くいたのだけど、自分は全くそういう風には捉えていなくて。ラストシーンのテルマの思い描いたように恋人が現れるシーンは、明らかにテルマの力による結果なのだから純愛もクソもないじゃないかという。力を自分のために使い始めたテルマは完全に闇落ちと言ってもいいような。どちらかといえば、人を愛することすら許されない悲劇と捉えるのがいいんじゃないかしら。

評価

管理人の評価:★★★☆(3.5/5.0)

雰囲気づくりの上手い良質な北欧ホラーでした。ヘビやカラスなど、聖書からのモチーフ非常に多いのでその辺の理解があるとより楽しめるかも。物語の中であまり多くを語らないスタイルも個人的には好印象で、観終わった後に人と話すのも解釈の違いとかがあって面白いですね。

作品を観たきっかけはラース・フォン・トリアーの甥っていう話題性だったけれど、全然タイプの違う個性を持った監督で、色眼鏡で見てしまっていたのを反省。今作でちゃんと名前覚えましたよ、ヨアキム監督!

↓ヨアキム監督の過去作。評判も良さそうなので、そのうち観てみたい。

↓叔父さんであるラース・フォン・トリアー監督の代表作。二度と観たくないほど暗い。

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