2019年年間ベスト映画
第1位:フリーソロ
命綱なし素手のみで断崖絶壁を登るクライマーを追うドキュメンタリー。
生死をかけたクライミングの映像は常軌を逸しすぎて、もはや現実感を失うほど。CG映像とは比べものにならない圧倒的な臨場感がある。登るやつも凄いが撮るやつも凄い。ラスト20分で1年分の手汗をかいた。ドキュメンタリー映画の極致。
第2位:マリッジ・ストーリー
ひと組の夫婦の離婚への戸惑いや親としての苦悩を描く。
誤解や行き違いの積み重ねで生まれた傷は離婚調停によって明るみに出され、より深く抉られる。白眉である論争のシーンは、現実と遜色ない痛みを私に運んでくる。ひとつの人間関係を限界まで掘り下げた大傑作。
第3位:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
1969年8月9日の悲劇、シャロン・テート殺人事件の直前のハリウッドを舞台に2人の男の友情を描く。
タランティーノ節のオフビートな空気に魅了されながらも、実在の事件へのカウントダウンは刻一刻と迫る。映画への愛が溢れる至高の161分間。
第4位:バイス
米国史上最も権力を持った副大統領ディック・チェイニーを描く。
副大統領に就任後は悪徳政治家そのものだが、なぜか憎めないのはウィットに富んだ演出の妙か。ブラックどころか猛毒の政治風刺には笑うしかない。これを当時の米首脳が存命中に撮ってるのは相当ヤバい。
第5位:女王陛下のお気に入り
18世紀の英国を舞台に女同士の愛憎が入り乱れる宮廷での歴史劇。
ランティモス作品特有の不条理感は控えめで、代わりにブラックなユーモアが爆発。エマ・ストーンというある種の異物が作品を掻き回す。時代考証を意図的に無視する演出もクールで、文句なしの大傑作。
第6位:運び屋
麻薬の運び屋になってしまった90歳の老人の話。
勝手に重い話かと思い込んでいたので、口が悪い上にチャラいクソジジイっぷりに唖然。新車を買ったジジイがカーステレオに合わせて歌いながらご機嫌で麻薬を運ぶ。後半では家族への贖罪が描かれるが、まったりムードの前半がツボ。
第7位:プライベート・ウォー
実在した女性戦場ジャーナリスト、メリー・コルビンの半生を描く。
戦場で左目を失い、精神を磨耗し重いPTSDにも苦しむ。それでもなお危険な戦地での取材を続けるのは彼女の信念か、はたまた狂気か。戦争の真実を伝えるジャーナリズムと、戦場の異様な臨場感はまさに圧巻。
第8位:アメリカン・アニマルズ
4人の大学生が1200万ドルの画集を盗む実際にあった事件を描く。
犯行動機の”何者かになりたい”という思いが今の社会っぽくて共感できる。題材から想像する痛快エンタメではなく、後に残るのは苦々しい喪失感。ドキュメンタリー調による不確かな認識の表現が面白い。
第9位:たちあがる女
過激な環境活動家の女性が養子を迎えようとすることで起こる騒動を描く。
雄大なアイスランドの自然のように強く、時に激しい”山女”。母なる大地と次の世代を救うため、たった一人で闘いに挑む彼女はまさにヒーロー。どこにでもついて来る劇伴音楽の楽団がシュールで最高。
第10位:エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
中学校生活の最後に不器用な自分を変えようとする少女の奮闘を描く。
この作品は観客に何を訴えるでもなく、ただそっと彼女に寄り添い続ける。その視点は優しいがときに残酷でもあり、胸が張り裂けそうになる。過去最高にリアルで繊細、痛々しくも美しい珠玉の青春映画。
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コメント
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